2021年08月13日

2021 年 第31週 (8月2日~8月8日)

今週の注目感染症①
☆新型コロナウイルス感染症
●新型コロナウイルス感染症とは
新型コロナウイルス感染症は、現在世界中で感染が拡大している呼吸器症状などを呈する感染症です。
感染経路は、飛沫感染が主体と考えられますが、換気の悪い環境であれば、咳やくしゃみなどの症状がなくても感染を拡大させると考えられています。
現在、予防接種が進められており、ワクチン未接種者と 2 回接種者を比較すると、65 歳以上の高齢者の感染が 10 分の 1 以下に抑えられていることがデータから明らかになっています。
(第 44 回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和 3 年 7 月 21 日)資料 2-4

 ●症状
1~14 日(通常 5 日程度)の潜伏期間の後に、主に発熱、咳、倦怠感等の風邪のような症状が出現しますが、下痢、嗅覚・味覚障害などを呈する場合もあります。
初期症状に続き、肺炎症状の増悪を示す場合があります。
特に高齢者や基礎疾患(慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性腎臓病、糖尿病、高血圧、肥満など)のある方がり患すると、重症化する割合が高い傾向にあるとされており、注意が必要です。
他方、感染しても息苦しさなどを認めない比較的軽症の例や無症状の方も多くみられます。
また、いわゆる後遺症についての研究が進められており、その中間報告において「疲労感・倦怠感、息苦しさ、筋力低下、睡眠障害、思考力・集中力の低下、脱毛」が感染の診断から 6 か月後でも多く認められ、遷延する症状と考えられています。
(COVID-19 後遺障害に関する実態調査等(厚生労働省))

 ●発生状況
・全国
2021 年 8 月 12 日 0 時現在までで、国内感染者は累計で 1,069,554 名、国内死亡者は 15,330 名、退院または療養解除となった者は 920,862 名となっています(厚生労働省ホームページより)。
東京都を中心とする首都圏や沖縄県での感染拡大が顕著ですが、全国的にほぼ全ての地域で新規感染者数が急速に増加し、これまでに経験したことのない感染拡大状況となっています。
感染者は 20-30 代が中心ですが、感染者数の急速な増加に伴い重症者数も急激に増加しており、医療提供体制が首都圏を中心に厳しい状況となっています。
重症者数が、比較的若い層だけでなく、60 代でも絶対数として増えていることにも注意が必要です。
感染性が強いとされるデルタ株の 8 月上旬時点での陽性例に占める割合は、関東地方で 90%以上、関西地方で約 80%と推定されています。
特に東京都では約 95%と推計され、従来株とほぼ置き換わってきており、現下の感染拡大の大きな要因となっていると考えられます。
(参考:都道府県別の懸念される変異株の国内事例数(ゲノム解析)について(厚生労働省)

・岡山県(最新情報)
2021 年 8 月 12 日までで、岡山県の感染者は累計で 9,440 名(男性 4,727 名、女性 3,978 名、性別非公表 735 名)、死亡者は 127 名となっています。
接待を伴う飲食店、会社、大学などでクラスターが発生しています。
スクリーニング検査で L452R 変異株(デルタ株の可能性が示唆される)を検出した事例が8 月 12 日までで 439 例となっています。
直近 1 週間(8/5~8/11)の岡山県の感染状況は、「感染者の急増および医療提供体制における大きな支障の発生を避けるための対応が必要な段階」とされるステージⅢが継続していますが、ステージⅣ相当となった指標(療養者数、PCR 検査陽性率、新規陽性者数)もあり、基本的な感染予防策(3 密の回避、マスク着用、手洗い、換気など)の徹底とともに行動にも留意が必要です。


今週の注目感染症②
☆RS ウイルス感染症
●RS ウイルス感染症とは
RS ウイルスによる急性呼吸器感染症です。1 歳までに半数以上、2 歳までにほぼ全てが初感染します。
感染者の咳やくしゃみ、会話の際に出るしぶきを浴びてウイルスを吸い込む飛沫感染、感染者との直接の濃厚接触や、ウイルスがついている手指や物品を触ったり、なめることによる間接的な接触で感染します。

●症状・治療
感染後 2~8 日の潜伏期間を経て、発熱、鼻汁、咳などの風邪様症状が現れます。
多くは軽症ですが、重症化すると咳がひどくなり、喘鳴や呼吸困難などが出現し、場合により細気管支炎、肺炎へと進展していきます。
初感染乳幼児の約 3 割で症状が重くなるとされ、乳幼児における肺炎の約 50%、細気管支炎の約 50~90%がこのウイルスによるとされています。
特に低体重出生児や心肺に基礎疾患がある場合、免疫不全がある場合などはリスクが高まります。
特効薬はなく症状に応じた対症療法を行います。

●乳幼児への感染予防
乳幼児期を過ぎると、RS ウイルスに感染しても軽症となり、感染していることに気づかずに、乳幼児にうつしてしまうことがあります。
そのため、咳などの呼吸器症状がある人は、可能な限り 0 歳児・1歳児との接触を避けることが感染拡大の防止につながります。
風邪をひいたと思ったらマスクをする、鼻をかんだ後はしっかりと手を洗う、子どもたちが使うおもちゃなどは消毒用アルコールで拭くなど、乳幼児への感染予防に努めましょう。

●発生状況
・全国
全国の 2021 年第 30 週(7/26~8/1)速報値によると、全国の定点あたり報告数は 4.03 人となり、前週(4.64 人)から減少しました。
都道府県別では、徳島県(22.52 人)、新潟県(11.88 人)、高知県(11.54 人)の順で定点あたり報告数が多くなっています。

・岡山県
2021 年第 31 週は 162 名(定点あたり 3.00 人)の報告があり、前週の 197 名(定点あたり 3.65 人)から減少しました。

地域別では、美作地域(6.50 人)、備中地域(5.29 人)、備北地域(4.00 人)の順で定点あたり報告数が多くなっています。
年齢階級別では、例年と比較すると、1 歳未満児の割合が全国と同様に減少していますが、1 歳児の割合が大きく増加しています。
全国と比較して、2 歳児以下(86%。全国は 48%)の報告がより多くなっています。

RSウイルス感染症とは(国立感染症研究所)
RSウイルス感染症Q&A(厚生労働省)

【岡山県感染症情報センターより参照】
(2021年8月13日更新)