2022年07月08日
2022 年 第26週 (6月27日~7月3日)
今週の注目感染症①
☆新型コロナウイルス感染症
●新型コロナウイルス感染症とは
新型コロナウイルス感染症は、世界中で感染が拡大している呼吸器症状などを呈する感染症です。
咳やくしゃみ、会話などの際に排出される、ウイルスを含んだ飛沫・エアロゾル(飛沫より更に小さな水分を含んだ状態の粒子)を吸入することで感染すると考えられます。
通常は感染者に近い距離(1m 以内)で感染しますが、エアロゾルは 1m を超えて空気中に留まりうることから、換気不十分な環境では、感染が拡大するリスクがあります。
予防接種が進められており、7 月 5 日までで全人口の 80.8%が 2 回、62.1%が3 回のワクチン接種を完了しています。
また、4 回目の追加予防接種が進められています。
●症状
現在日本で流行の主流となっているオミクロン株は、潜伏期間が 2~3 日と、従来流行していた株(デルタ株など)と比較し短くなっています。
また、上気道で増殖しやすい特性から、従来株に比べ、鼻汁・頭痛・倦怠感・咽頭痛などの風邪様症状の頻度が増加している一方で、嗅覚・味覚障害の頻度の減少が報告されています。
しかしながら、肺炎が進展し、重症化する例も少なからず認められます。
特に高齢者や基礎疾患(慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性腎臓病、糖尿病、高血圧、肥満など)のある方がり患すると、重症化する割合が高い傾向にあるとされており、注意が必要です。
また、妊婦では妊娠後半期(21 週以降)などに重症化する割合が高いことが分かっていますが、ワクチン接種が重症化を予防する可能性があるとされています(日本における COVID-19 妊婦の現状(日本産婦人科学会、2022 年 6 月 7 日付報告))。
なお、り患後症状(いわゆる後遺症)については、こちらをご覧ください。
→ 罹患後症状のマネジメント・第 1.1 版(2022 年 6 月 17 日発行)
●発生状況
・全国
2022 年 7 月 6 日 0 時現在までで、国内感染者は累計で 9,451,806 名、国内死亡者は 31,348 名、入院治療等を要する者は 190,582 名(うち重症者 68 名)となっています(厚生労働省ホームページより)。
全国の新規感染者数は、前週に減少傾向から増加に転じ、増加傾向が継続しています。
また、新規感染者数の増加に伴い、療養者数および重症者数も増加しています。
死亡者数は下げ止まりの傾向で、今後増加に転ずる可能性があります。
オミクロン株の新たな系統(BA.5 系統等)が検出されており、今後置き換わりが進むことで感染者数の増加要因となる可能性があります。
気温上昇によって屋内での活動が増える時期ですが、冷房を優先するため、換気がされにくい場合があります。
引き続き感染防止策および体調管理の徹底に留意しましょう。
・岡山県(最新情報)
2022 年 7 月 7 日 0 時現在までで、岡山県の感染者は累計で 105,886 名、死亡者は 252 名(6 月 30 日~7 月6 日までの 1 週間で 2 名増加)となっています。
学校・高齢者施設・保育施設でクラスターが発生しています。
直近 1 週間の新規感染者数は、全国の状況と同様に増加へ転じており、全年齢層で増加が認められています。
ワクチン接種とともに、基本的な感染予防策(3 密(密閉・密集・密接)の回避、マスクの正しい着用、手洗い、換気など)の徹底に留意し、体調が悪いときは速やかに医療機関を受診しましょう。
今週の注目感染症②
☆ダニ媒介感染症
野外にいる吸血性のダニとして、マダニやツツガムシなどが知られています(マダニは、食品に発生する「コナダニ」や、衣類や寝具に発生する「ヒョウヒダニ」などの家庭内に生息するダニとは種類が違います)。
これらのダニの中には、重症熱性血小板減少症候群(SFTS) ・ 日本紅斑熱 ・ つつが虫病などを引き起こす病原体を保有しているものもいます。
これらの感染症は、例年 3 月から 11 月にかけて多く報告されています。
※ 診断・治療法・予防法など詳細は『重症熱性血小板減少症候群(SFTS)』に注意しましょう、『日本紅斑熱』に注意しましょう、『つつが虫病』に注意しましょう(すべて岡山県感染症情報センターホームページ)をご覧ください。
<全国および岡山県での発生状況について>
●全国
2022 年第 25 週までの報告数をみると、SFTS は集計開始以降で最多であった 2021 年と同程度で推移しています。
日本紅斑熱、つつが虫病は平年と同程度で推移しています。
●岡山県
☆SFTS
2022 年は第 26 週までで 3 名の報告がありました。
なお、2020 年には 7 名が報告され、初発例が報告された 2013 年以降で 1 年間の報告数が最多となり、また、2021 年にはこれに次ぐ 6 名が報告されました。
2013 年からの月別発生状況では、春から秋にかけて患者が発生する傾向があります。
☆日本紅斑熱
2022 年は第 26 週までで 2 名の報告がありました。
なお、2020 年には 11 名が報告され、初発例が報告された 2009 年以降で 1 年間の報告数が最多となり、また、2021 年にはこれに次ぐ 9 名が報告されました。
2009 年からの月別発生状況では、5 月と、8 月から 10 月にかけて、患者数が増加する傾向があります。
☆つつが虫病
2022 年は第 26 週までで 1 名の報告がありました。
なお、2021 年には 4 名が報告され、2006 年の集計開始以降で 1 年間の報告数が最多となりました。
2006 年からの月別発生状況では、4 月をピークとする春と 10月から 12 月の秋冬にかけて患者が多く発生する傾向があります。
【岡山県感染症情報センターより参照】
(2022年7月8日更新)