2019年第30週　～今週の注目感染症『風しん』『手足口病』～

2019年 第30週（7月22日 ～ 7月28日）

■定点把握感染症の発生状況
患者報告医療機関数：インフルエンザ定点 84、小児科定点 54、眼科定点 12、STD 定点 17、基幹定点 5
○手足口病は、県全体で 456 名（定点あたり 8.09 → 8.44 人）の報告があり、前週とほぼ同数でした。
○ヘルパンギーナは、県全体で 63 名（定点あたり 1.54 → 1.17 人）の報告があり、前週から減少しました。

■今週の注目感染症①
☆風しん
症状等についてはこちらをご覧ください。
⇒ 『風しんについて』（厚生労働省)

●発生状況
風しんは、2018 年に全国的に流行しました(2018 年の全国の風しん届出数：2,917 名。2015～2017 年の 3 年間では年間 93～163 名)。
2019 年に入ってから、全国では第 1 週から第 29 週の風しん累積患者報告数は 2,004 名となり、第 28 週の 1,973 名から 31 名増加しました。
2018 年に続き、2,000 人を超えました。
2019 年第 1 週から第 29 週までの人口 100 万人あたりの患者報告数は全国で 15.8 人となり、東京都が 54.5 人で最も多く、次いで島根県 43.2人、佐賀県 37.2 人、千葉県 28.3 人、神奈川県 27.0 人と続いています。
患者の 94% が成人で、男性が女性の 3.9 倍多く報告されており、特に30～40 代の男性に多くなっています（男性患者全体の 60 % ）。
＜中国・四国地方の状況＞
・2018 年累積報告数（カッコ内は人口 100 万人あたりの患者報告数）
岡山県：29 名（15.1 人）、広島県：28 名（9.8 人）、山口県：24 名（17.1 人）、愛媛県：7 名（5.1 人）
・2019 年第 1 週～第 30 週（速報値）累積報告数
島根県：30 名(43.2 人)、広島県：28 名(9.8 人)、山口県：18 名(12.8人)、愛媛県：6 名【前週+2】(4.3 人)、香川県：5 名(5.1 人)、
岡山県：3 名（1.6 人）

●先天性風しん症候群（CRS）とは
妊娠初期に風しんにり患すると、風しんウイルスが胎児に感染し、出生児に先天性風しん症候群（CRS）と総称される障がいを引き起こすことがあります。
先天性心疾患、難聴、白内障が 3 大症状です。
全国では 2019 年第 4 週、第 17 週および第 24 週に、各 1 名ずつの先天性風しん症候群の発生報告がありました。

■今週の注目感染症②
☆手足口病
●感染経路および症状
手足口病は、夏季に乳幼児を中心に流行する急性ウイルス性感染症です。
飛沫感染や接触感染、糞口感染（便中に排泄されたウイルスが手指などを介して口に入ること）などによって感染します。
3～5 日の潜伏期間の後、口の粘膜、手のひら、足の甲や裏に 2～3mm の水疱性発しんが出現します。
発熱は約 1/3 に見られますが、一般に軽度です。
3～7 日で水疱は消え、通常予後は良好ですが、まれに髄膜炎、脳炎、心筋炎や急性弛緩性麻痺などを起こすことがあります。
特に、エンテロウイルス 71 型による手足口病は、中枢神経系の合併症など、重症化する割合が高いと言われています。
なお、2019 年は全国的にコクサッキーウイルス A6 型の検出が多くなっており、岡山県でも同様の傾向となっています。

●発生状況
全国的に流行しており、第 29 週は第 28 週とほぼ同数の患者数（約 4 万人）となり、過去 10 年間の同時期と比較して最も多くなっています。
第29 週の定点あたり報告数では埼玉県(22.99 人)、福島県(21.06人)、山形県(20.41 人)、富山県(20.07 人)、愛媛県(19.24 人)の順に多く、39 都府県で警報レベルの 5.00 人を超えました。
岡山県でも、第 30 週では県全体で 456 名（定点あたり 8.44人）の報告があり、過去 10 年間の同時期と比較すると、2017年、2013 年に次いで、3 番目に多い報告数となっています。
年齢別では、第 30 週までで 0-3 歳が 82% を占めています。

●治療および予防法
治療法はなく、症状に応じた対症療法が行われます。
口の中に発しんができ食事を取りにくいため、柔らかい薄味の食事にするなどの工夫をし、こまめな水分補給を心がけましょう。
また、高熱が出る、おう吐する、頭を痛がる、ぐったりとしているなどの症状がみられた場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。
有効なワクチンはないので、患者との濃厚な接触を避け、せっけんや流水による手洗いを励行し、適切に排泄物を処理するなど、感染予防と拡大防止に努めましょう。
症状が治まっても、2～4週間の長期間にわたり便の中にウイルスが排出されるため、手足口病にかかりやすい乳幼児が集団生活をしている保育園や幼稚園などでは特に注意が必要です。

【岡山県感染症情報センターより参照】
（2019年8月2日更新）