2019年06月07日
2019年 第22週(5月27日 ~ 6月2日)
■定点把握感染症の発生状況
患者報告医療機関数:インフルエンザ定点 84、小児科定点 54、眼科定点 12、STD 定点 17、基幹定点 5
○感染性胃腸炎は、県全体で 330 名(定点あたり 6.87 → 6.11 人)の報告があり、前週からわずかに減少しました。
○手足口病は、県全体で 201 名(定点あたり 3.30 → 3.72 人)の報告があり、前週からわずかに増加しました。
■今週の注目感染症
☆風しん
●風しんとは
風しんは、発熱、発しん、リンパ節腫脹を特徴とするウイルスによる急性の発しん性感染症です。
感染経路は飛沫感染で、ヒトからヒトに伝播します。
特に妊婦がり患すると、出生児に先天性風しん症候群(CRS)を発症することがあり、社会的に注目される疾患です。
●症状
感染から 14~21 日後に発熱、発しん、リンパ節腫脹が出現します(発熱は風しん患者の約半数)。
症状は不顕性感染(15~30% 程度)から、重篤な合併症併発まで幅広く、特に成人で発症した場合、高熱や発しんが長く続いたり関節痛を認めるなど、小児より重症化することがあります。
●発生状況
・全国
2018 年に全国的に流行しました(2018 年 の全国の風しん届出数:2,937 名。2015~ 2017 年の 3 年間では年間 93~163 名)。
人口 100 万人あたりの患者報告数は全国 で 23.1 人となり、東京都が 70.5 人で最も 多く、次いで千葉県の 61.7 人、神奈川県 45.5 人、福岡県 32.7 人、埼玉県 26.2 人と 続きました。
2019 年に入ってから、全国では第 1 週か ら第 21 週の風しん累積患者報告数は 1,624 名となり、第 20 週の 1,565 名から 59 名増加しました。
2019 年第 1 週から第 21 週までの人口 100 万人あたりの患者報告数は全国で 12.8 人となり、東京都が 41.2 人で最も多く、 次いで島根県 34.6 人、佐賀県 31.2 人、千葉県 23.0 人、神奈川県 21.9 人、福井県 17.8 人、埼玉県 16.7 人と続いていま す。
患者の 9 割以上が成人で、男性が女性の 4.0 倍多く報告されており、特に 30 代~40 代の男性に多くなっています(男性 患者全体の 6 割)。
なお、岡山県は、前週と同様、人口 100 万人あたり 1.6 人です。中四国地方では、島根県(34.6 人)、山口県(12.8 人)、広島県(9.8 人)の順に多くなっています。
・岡山県
2018 年の累計で 29 名(男性 28 名、女性 1 名)の報告が ありました。
2019 年は第 3 週に 1 名(50 歳代男性)、第 4 週に 1 名 (20 歳代男性)、第 6 週に 1 名(30 歳代男性)の報告が あり、2018 年から始まった全国的な流行における岡山県で の患者累計(2019 年第 22 週まで)は 32 名となりました。
<参考:中国・四国地方の状況>
・2018 年第 1 週~第 52 週累積報告数(カッコ内は人口 100 万人あたりの患者報告数) 岡山県:29 名(15.1 人)、広島県:28 名(9.8 人)、山口県:24 名(17.1 人)、愛媛県:7 名(5.1 人)
・2019 年第 1 週~第 22 週(速報値)累積報告数 岡山県:3 名(1.6 人)、広島県:28 名(9.8 人)、山口県:18 名(12.8 人)、島根県:26 名【前週+2】(37.5 人)、香川県:3 名(3.1 人)、愛媛県:3 名(2.2 人)
●先天性風しん症候群(CRS)とは
妊娠初期に風しんにり患すると、風しんウイルスが胎児に感染し、出生児に先天性風しん症候群(CRS)と総称される障 がいを引き起こすことがあります。
先天性心疾患、難聴、白内障が 3 大症状ですが、それ以外にも、網膜症、肝脾腫、 血小板減少、糖尿病、発育遅延、知的障がい、小眼球など多岐にわたる症状を呈することがあります。
全国では、2019 年第 4 週および第 17 週に、各 1 名ずつの先天性風しん症候群の発生報告がありました。
●風しんはワクチンで予防できます!
予防接種が唯一の有効な予防手段です。
岡山県でも、全国の状況と同様に、30 歳代~50 歳代の男性が患者のほとんどを占めており、大きな問題です。
【岡山県感染症情報センターより参照】
(2019年6月7日更新)