2019年09月06日
2019年 第35週(8月26日 ~ 9月1日)
■定点把握感染症の発生状況
患者報告医療機関数:インフルエンザ定点84、小児科定点54、眼科定点12、STD定点17、基幹定点5
○手足口病は、県全体で182名(定点あたり 2.72 → 3.37人)の報告があり、前週から増加しました。
■今週の注目感染症①
☆風しん
症状等についてはこちらをご覧ください。
⇒ 『風しんについて』(厚生労働省)
風しんは、2018 年に全国的に流行しました (2018 年の全国の風しん届出数:2,917 名。 2015~2017 年の 3 年間では年間 93~163 名)。
2019 年に入ってから、全国では第 1 週から 第 34 週の風しん累積患者報告数は 2,134 名とな り、第 33 週の 2,108 名から 26 名増加しました。
2019 年第 1 週から第 34 週までの人口 100 万人あたりの患者報告数は全 国で 16.8 人となり、東京都が 59.2 人で最も多く、次いで島根県 43.2 人、佐賀県 38.4 人、千葉県 30.4 人、神奈川県 28.4 人と続いています。
患者の 95%が成人で、男性が女性の 3.8 倍多く報告されており、特に 30 ~40 代の男性に多くなっています(男性患者全体の 60%)。
<中国・四国地方の状況>
・2018 年累積報告数(カッコ内は人口 100 万人あたりの患者報告数)
岡山県:29 名(15.1 人)、広島県:28 名(9.8 人)、山口県:24 名 (17.1 人)、愛媛県:7 名(5.1 人)
・2019 年第 1 週~第 35 週(速報値)累積報告数
島根県:30 名(43.2 人)、広島県:28 名(9.8 人)、山口県:18 名(12.8 人)、愛媛県:6 名 (4.3 人)、香川県:5 名(5.1 人)、岡山県:3 名 (1.6 人)
●先天性風しん症候群(CRS)とは
妊娠初期に風しんにり患すると、風しんウイルスが胎児に感染し、出生児に先天性風しん症候群(CRS)と総称される障がいを 引き起こすことがあります。
先天性心疾患、難聴、白内障が 3 大症状です。
全国では 2019 年第 4 週、第 17 週および第 24 週に、各 1 名ずつの先天性風しん症候群の発生報告がありました。
■今週の注目感染症②
☆手足口病
●感染経路および症状
手足口病は、夏季に乳幼児を中心に流行する急性ウイルス性感染症です。
飛沫感染や接触感染、糞口感染(便中 に排泄されたウイルスが手指などを介して口に入ること)などによって感染します。
3~5日の潜伏期間の後、口の粘膜、手のひら、足の甲や裏に2~3mmの水疱性発しんが出現します。
発熱は約1/3に見られますが、一般に軽度です。
3~7日で水疱は消え、通常予後は良好ですが、まれに髄膜炎、脳炎、心筋炎や急性弛緩性麻痺 などを起こすことがあります。
なお、2019年は全国的にコクサッキーウイルスA6型の検出が多くなっており、岡山県でも同様の傾向となっています。
●発生状況
全国の第 34 週の定点あたり報告数は、第 33 週から減 少しました(3.04 → 2.75 人)。
都道府県別では、宮城 県(8.66 人)、北海道(8.61 人)、長野県(6.32 人)の順に多く、5 道県で警報レベルの 5.00 人を超えています。
岡山県では、第 35 週に県全体で 182 名(定点あたり 3.37 人)の報告があり、備前地域、備中地域及び備北 地域以外で発生レベル 3 が継続しています(終息基準 値は 2.00 人)。
年齢別では、第 35 週までで 0~3 歳が 80% を占めています。
<中国・四国地方の状況(第 35 週)>
山口県(3.17 人)、徳島県(3.04 人)、香川県(2.89 人)、島根県(2.83 人)、鳥取県(2.42 人)、愛媛県(2.16 人)、 広島県および高知県(各 1.07 人)
●治療および予防法
治療法はなく、症状に応じた対症療法が行われます。
口の中に発しんができ食事を取りにくいため、柔らかい薄 味の食事にするなどの工夫をし、こまめな水分補給を心がけましょう。
また、高熱が出る、おう吐する、頭を痛がる、ぐったりとしているなどの症状がみられた場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。
有効なワクチンはないので、患者との濃厚な接触を避け、せっけんや流水による手洗いを励行し、適切に排泄物を処理するなど、 感染予防と拡大防止に努めましょう。
症状が治まっても、2~4週間の長期間にわたり便の中にウイルスが排出されるため、手足口病にかかりやすい乳幼児が集団生活をしている保育園や幼稚園などでは特に注意が必要です。
【岡山県感染症情報センターより参照】
(2019年9月6日更新)