2019年08月16日
2019年 第32週(8月5日 ~ 8月11日)
■定点把握感染症の発生状況
患者報告医療機関数:インフルエンザ定点84、小児科定点54、眼科定点12、STD定点17、基幹定点5
○手足口病は、県全体で253名(定点あたり 7.07 → 4.69人)の報告があり、前週から減少しました。
■今週の注目感染症①
☆風しん
症状等についてはこちらをご覧ください。
⇒ 『風しんについて』(厚生労働省)
●発生状況
風しんは、2018年に全国的に流行しまし た(2018年の全国の風しん届出数:2,917 名。2015~2017年の3年間では年間93 ~163名)。
2019年に入ってから、全国では第1週から第31週の風しん累積患者報告数は2,061名となり、第30週の2,039名 から22名増加しました。
2019年第1週から第31週までの人口100万人あたりの患者報告数は全 国で16.2人となり、東京都が56.7人で最も多く、次いで島根県43.2 人、佐賀県38.4人、千葉県28.9人、神奈川県27.6人と続いています。 患者の95% が成人で、男性が女性の3.8倍多く報告されており、特に30 ~40代の男性に多くなっています(男性患者全体の60 % )。
<中国・四国地方の状況>
・2018年累積報告数(カッコ内は人口100万人あたりの患者報告数) 岡山県:29名(15.1人)、広島県:28名(9.8人)、山口県:24名 (17.1人)、愛媛県:7名(5.1人)
・2019年第1週~第32週(速報値)累積報告数 島根県:30名(43.2人)、広島県:28名(9.8人)、山口県:18名(12.8 人)、愛媛県:6名 (4.3人)、香川県:5名(5.1人)、岡山県:3名(1.6人)
●先天性風しん症候群(CRS)とは
妊娠初期に風しんにり患すると、風しんウイルスが胎児に感染し、出生児に先天性風しん症候群(CRS)と総称される障がいを引き起こすことがあります。
先天性心疾患、難聴、白内障が3大症状です。
全国では2019年第4週、第17週および第24週に、各1名ずつの先天性風しん症候群の発生報告がありました。
■今週の注目感染症②
☆手足口病
●感染経路および症状
手足口病は、夏季に乳幼児を中心に流行する急性ウイルス性感染症です。
飛沫感染や接触感染、糞口感染(便中 に排泄されたウイルスが手指などを介して口に入ること)などによって感染します。
3~5日の潜伏期間の後、口の粘膜、手のひら、足 の甲や裏に2~3mmの水疱性発しんが出現します。
発熱は約1/3に見られますが、一般に軽度です。
3~7日で水疱は消え、通常予後は良好ですが、まれに髄膜炎、脳炎、心筋炎や急性弛緩性麻痺などを起こすことがあります。
なお、2019年は全 国的にコクサッキーウイルスA6型の検出が多くなっており、岡山県でも同様の傾向となっています。
●発生状況
東日本を中心に流行しており、第31週は第30週 から減少しましたが(定点あたり報告数13.42人→ 10.54人)、1週間の患者報告数は依然として3万人を超えています。
過去10年間の同時期と比較して最も多くなっています。
第31週の定点あたり報告数は宮城県(34.48人)、山形県(33.20人)、長野県(21.04人)の順に多く、34都道県で警報レベルの5.00人を超えました。
岡山県では、第32週に県全体で253名(定点あたり4.69人)の報告があり、備中地域以外で発生レベル3が継続 しています。
年齢別では、第32週までで0-3歳が81% を占めています。
<中国・四国地方の状況(第32週)>
香川県(12.11人)、島根県(6.82人)、徳島県(6.57人)、山口県(6.20人)、鳥取県(6.00人)、愛媛県 (5.30人)、広島県(2.93人)、高知県(0.83人)
●治療および予防法
治療法はなく、症状に応じた対症療法が行われます。
口の中に発しんができ食事を取りにくいため、柔らかい薄 味の食事にするなどの工夫をし、こまめな水分補給を心がけましょう。
また、高熱が出る、おう吐する、頭を痛がる、ぐったりとしているなどの症状がみられた場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。
有効なワクチンはないので、患者との濃厚な接触を避け、せっけんや流水による手洗いを励行し、適切に排泄物を処理するなど、 感染予防と拡大防止に努めましょう。
症状が治まっても、2~4週間の長期間にわたり便の中にウイルスが排出されるため、手足口病にかかりやすい乳幼児が集団生活をしている保育園や幼稚園などでは特に注意が必要です。
【岡山県感染症情報センターより参照】
(2019年8月16日更新)