2021年06月18日

2021 年 第23週 (6月7日~6月13日)

今週の注目感染症①
☆新型コロナウイルス感染症
 ●新型コロナウイルス感染症とは
新型コロナウイルス感染症は、現在世界中で感染が拡大している呼吸器症状などを呈する感染症です。
日本では、2020 年 1 月 15 日に 1 例目の感染者が確認されました。
感染経路は、飛沫感染が主体と考えられますが、換気の悪い環境であれば、咳やくしゃみなどの症状がなくても感染を拡大させると考えら
れています(WHO は、5 分間の会話で 1 回の咳と同程度の飛沫(約 3,000 個)が飛ぶと報告)。
現在、ワクチンが開発され、予防接種が進められています。
(新型コロナウイルスワクチン接種に関する情報提供(岡山県))

 ●症状
1~14 日(通常 5 日程度)の潜伏期間の後に、主に発熱、咳、倦怠感等の風邪のような症状が出現しますが、下痢、嗅覚・味覚障害などを呈する場合もあります。
初期症状に続き、肺炎症状の増悪を示す場合があります。
特に高齢者や基礎疾患(慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性腎臓病、糖尿病、高血圧、肥満など)のある方がり患すると、重症化する割合が高い傾向にあるとされており、注意が必要です。
他方、感染しても息苦しさなどを認めない比較的軽症の例や無症状の方も多くみられます。
また、いわゆる後遺症についての研究が進められており、その中間報告において「疲労感・倦怠感、息苦しさ、筋力低下、睡眠障害、思考力・集中力の低下、脱毛」が感染の診断から 6 か月後でも多く認められ、遷延する症状と考えられています。
(COVID-19 後遺障害に関する実態調査等(厚生労働省))

 ●発生状況
・全国
2021 年 6 月 17 日 0 時現在までで、国内感染者は累計で 779,338 名、国内死亡者は 14,269 名、退院または療養解除となった者は 740,213 名となっています(厚生労働省ホームページより)。
全国の新規感染者数は、感染拡大がみられていた地域では減少傾向となっています。
しかし、地域によっては人流の増加がみられ、今後リバウンドが懸念されます。
新規感染者数の減少に伴い、重症者数も減少が継続しており、死亡者数も減少に転じています。
デルタ株(インドで最初に検出された変異株)については、報告数が増加しつつあります。
アルファ株(英国で最初に検出された変異株)よりもさらに感染・伝播性が強い可能性も示唆されており、引き続き注視する必要があります。
(参考:都道府県別の変異株(ゲノム解析等)確認数について(厚生労働省ホームページ) )

・岡山県(最新情報)
2021 年 6 月 17 日までで、岡山県の感染者は累計で 7,568 名(男性 3,754 名、女性 3,286 名、性別非公表 528 名)、死亡者は 123 名となっています。
新規感染者数は第 20 週(5/17~5/23)から減少傾向に転じており、病床使用率も低下傾向となっています。
5 月 16 日から岡山県に適用されていた緊急事態措置の実施期間は、6 月 20 日までとなりました。
しかしながら、リバウンドを防止することが重要であり、今後も新規感染者数の減少傾向が継続するか注視が必要です。
岡山県の状況、感染予防の方法などの詳細は、新型コロナウイルス感染症について(新型コロナウイルス感染症について(岡山県健康推進課ホームページ))をご覧ください。

今週の注目感染症②
☆ダニ媒介感染症
野外にいる吸血性のダニとして、マダニやツツガムシなどが知られています(マダニは、食品に発生する「コナダニ」や、衣類や寝具に発生する「ヒョウヒダニ」などの家庭内に生息するダニとは種類が違います)。
これらのダニの中には、重症熱性血小板減少症候群(SFTS) ・ 日本紅斑熱 ・ つつが虫病などを引き起こす病原体を保有しているものもいます。
これらの感染症は、例年 3 月から 11 月にかけて多く報告されています。
※診断・治療法・予防法など詳細は『重症熱性血小板減少症候群(SFTS)』に注意しましょう『日本紅斑熱』に注意しましょう『つつが虫病』に注意しましょう(すべて岡山県感染症情報センターホームページ)をご覧ください。

<全国および岡山県での発生状況について>
●全国
2021 年第 22 週までの推移をみると、SFTS、日本紅斑熱、つつが虫病のすべてで過去 5 年の同時期の累計報告数を上回っています。

●岡山県
☆SFTS
2021 年は第 23 週までで 3 名の報告がありました。
なお、2020 年には 7 名が報告され、初発例が報告された 2013 年以降で 1 年間の報告数が最多となりました。
2013 年からの月別発生状況では、7 月をピークとし、春から秋にかけて患者が発生する傾向があります。

☆日本紅斑熱
2021 年は第 23 週に 1 名の報告があり、2021 年の累計報告数が 3 名となっています。
なお、2020 年には11 名が報告され、初発例が報告された 2009 年以降で 1 年間の報告数が最多となりました。
2009 年からの月別発生状況では、5 月と、8 月から 10 月にかけて、患者数が増加する傾向があります。

☆つつが虫病
2021 年は、第 23 週までで 2 名の報告がありました。
なお、2020 年には 3 名が報告され、例年と同様の発生状況となりました。
2006 年からの月別発生状況では、4 月と 12 月をピークとし、春と秋冬にかけて患者が多く発生する傾向があります。

【岡山県感染症情報センターより参照】
(2021年6月18日更新)