2022年07月22日

2022 年 第28週 (7月11日~7月17日)

今週の注目感染症①
☆新型コロナウイルス感染症
●新型コロナウイルス感染症とは
新型コロナウイルス感染症は、世界中で感染が拡大している呼吸器症状などを呈する感染症です。
咳やくしゃみ、会話などの際に排出される、ウイルスを含んだ飛沫・エアロゾル(飛沫より更に小さな水分を含んだ状態の粒子)を吸入することで感染すると考えられます。
通常は感染者に近い距離(1m 以内)で感染しますが、エアロゾルは 1m を超えて空気中に留まりうることから、換気不十分な環境では、感染が拡大するリスクがあります。
予防接種が進められており、7 月 19 日までで全人口の 80.9%が 2 回、62.3%が 3 回のワクチン接種を完了しています。
また、4 回目の追加予防接種が進められています。

 ●症状
現在日本で流行の主流となっているオミクロン株は、潜伏期間が 2~3 日と、従来流行していた株(デルタ株など)と比較し短くなっています。
また、上気道で増殖しやすい特性から、従来株に比べ、鼻汁・頭痛・倦怠感・咽頭痛などの風邪様症状の頻度が増加している一方で、嗅覚・味覚障害の頻度の減少が報告されています。
しかしながら、肺炎が進展し、重症化する例も少なからず認められます。
特に高齢者や基礎疾患(慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性腎臓病、糖尿病、高血圧、肥満など)のある方がり患すると、重症化する割合が高い傾向にあるとされており、注意が必要です。
また、妊婦では妊娠後半期(21 週以降)などに重症化する割合が高いことが分かっていますが、ワクチン接種が重症化を予防する可能性があるとされています(日本における COVID-19 妊婦の現状(日本産婦人科学会、2022 年 6 月 7 日付報告))。
なお、り患後症状(いわゆる後遺症)については、こちらをご覧ください。
罹患後症状のマネジメント・第 1.1 版(2022 年 6 月 17 日発行)

 ●発生状況
・全国
2022 年 7 月 20 日 0 時現在までで、国内感染者は累計で 10,469,440 名、国内死亡者は 31,643 名、入院治療等を要する者は 725,898 名(うち重症者 176 名)となっています(厚生労働省ホームページより)。
全国の新規感染者数は、前週に引き続き倍増と、急速な増加が継続しています。
新規感染者数の増加に伴い、療養者数も急速に増加しています。
重症者数や死亡者数にも増加傾向がみられます。
ワクチンや感染により獲得された免疫の減弱、オミクロン株の新たな系統(BA.5 系統等)への置き換わり等が増加要因として考えられています。
気温上昇によって屋内での活動が増える時期ですが、冷房を優先するため、換気がされにくい場合があります。
また、夏休みに入り、接触機会の増加等が予想されます。
引き続き感染防止策および体調管理の徹底に留意しましょう。

・岡山県(最新情報)
2022 年 7 月 21 日 0 時現在までで、岡山県の感染者は累計で 114,843 名、死亡者は 253 名(7 月 14 日~20日までの 1 週間で 1 名増加)となっています。
学校・高齢者施設・医療機関などでクラスターが発生しています。
直近 1 週間の新規感染者数は、全国の状況と同様に、前週に引き続きほぼ全ての年代で倍増と、急速な増加が継続しています。
ワクチン接種とともに、基本的な感染予防策(3 密(密閉・密集・密接)の回避、マスクの正しい着用、手洗い、換気など)の徹底に留意し、体調が悪いときは速やかに医療機関を受診しましょう。

今週の注目感染症②
☆ダニ媒介感染症
野外にいる吸血性のダニとして、マダニやツツガムシなどが知られています(マダニは、食品に発生する「コナダニ」や、衣類や寝具に発生する「ヒョウヒダニ」などの家庭内に生息するダニとは種類が違います)。
これらのダニの中には、重症熱性血小板減少症候群(SFTS) ・ 日本紅斑熱 ・ つつが虫病などを引き起こす病原体を保有しているものもいます。
これらの感染症は、例年 3 月から 11 月にかけて多く報告されています。
※ 診断・治療法・予防法など詳細は『重症熱性血小板減少症候群(SFTS)』に注意しましょう、『日本紅斑熱』に注意しましょう『つつが虫病』に注意しましょう(すべて岡山県感染症情報センターホームページ)をご覧ください。

<全国および岡山県での発生状況について>
●全国
2022 年第 27 週までの報告数をみると、SFTS は集計開始以降で最多であった 2021 年と同程度で推移しています。
日本紅斑熱、つつが虫病は平年と同程度で推移しています。

●岡山県
☆SFTS
2022 年は第 28 週までで 3 名の報告がありました。
なお、2020 年には 7 名が報告され、初発例が報告された 2013 年以降で 1 年間の報告数が最多となり、また、2021 年にはこれに次ぐ 6 名が報告されました。
2013 年からの月別発生状況では、春から秋にかけて患者が発生する傾向があります。

☆日本紅斑熱
2022 年は第 28 週までで 3 名の報告がありました。
なお、2020 年には 11 名が報告され、初発例が報告された 2009 年以降で 1 年間の報告数が最多となり、また、2021 年にはこれに次ぐ 9 名が報告されました。
2009 年からの月別発生状況では、5 月と、8 月から 10 月にかけて、患者数が増加する傾向があります。

☆つつが虫病
2022 年は第 28 週までで 1 名の報告がありました。
なお、2021 年には 4 名が報告され、2006 年の集計開始以降で 1 年間の報告数が最多となりました。
2006 年からの月別発生状況では、4 月をピークとする春と 10月から 12 月の秋冬にかけて患者が多く発生する傾向があります。

【岡山県感染症情報センターより参照】
(2022年7月22日更新)