2018年12月21日

2018年 第50週(12月10日~ 12月16日)

■定点把握感染症の発生状況
患者報告医療機関数:インフルエンザ定点 84、小児科定点 54、眼科定点 12、STD 定点 17、基幹定点 5
○インフルエンザは、県全体で 1,145 名(定点あたり 5.24 → 13.63 人)の報告があり、前週より大きく増加しました。
○A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎は、県全体で 108 名(定点あたり 1.50 → 2.00 人)の報告があり、前週より増加しま した。
○感染性胃腸炎は、県全体で 505 名(定点あたり 8.74 → 9.35 人)の報告があり、前週とほぼ同数でした。

■今週の注目感染症
☆風しん

●風しんとは
風しんは、発熱、発しん、リンパ節腫脹を特徴とするウイルスによる急性の発しん性感染症です。
感染経路は飛沫感 染で、ヒトからヒトに伝播します。
特に妊婦がり患すると、出生児に先天性風しん症候群を発症することがあり、社会 的に注目される疾患です。

●症状
感染から 14~21 日後に発熱、発しん、リンパ節腫脹が出現します(発熱は風しん患者の約半数)。
症状は不顕性 感染(15~30%程度)から、重篤な合併症併発まで幅広く、特に成人で発症した場合、高熱や発しんが長く続いたり 関節痛を認めるなど、小児より重症化することがあります。

●発生状況
風しんは、全国に感染が拡大しています(第 49 週まで:2,586 名、第 50 週まで(速報値):2,713 名。直近 3 年間 では年間 93~163 名)。
中国・四国地方では、第 50 週まで(速報値)で岡山県および広島県:各 26 名、山口 県:19 名、香川県および愛媛県:各 5 名などが報告されています。
また患者は、男性が女性の 4.3 倍と多くを占めており、中でも抗体価が低いとされる、30 代~50 代の男性が中心と なっています(男性患者全体の約 8 割)。
2018 年第 49 週までの人口 100 万人あたりの患者報告数は全国で 20.3 人となり、東京都が 64.0 人で最も多く、次い で千葉県の 57.0 人、神奈川県 39.4 人、福岡県 25.1 人、埼玉県 24.2 人と続いています。岡山県は、人口 100 万人あ たり 13.0 人となり、全国で 10 番目に多く、中国・四国地方では最も多くなっています。

岡山県では、2018 年第 50 週ま での累計で 26 名(男性 25 名、 女性 1 名)の報告があり、年代 別では 40 歳代が 10 名、50 歳代 が 7 名、30 歳代が 5 名の順で 多く報告されています。
事業所 における集団発症事例の報告も ありました。

●先天性風しん症候群とは
妊娠初期に風しんにり患すると、風しんウイルスが胎児に感染し、出生児に先天性風しん症候群と総称される障がい を引き起こすことがあります。
先天性心疾患、難聴、白内障が 3 大症状ですが、それ以外にも、網膜症、肝脾腫、 血小板減少、糖尿病、発育遅延、知的障がい、小眼球など多岐にわたる症状を呈することがあります。

●風しんはワクチンで予防できます!
予防接種が唯一の有効な予防手段です。
岡山県でも、全国の状況と同様に、30 歳代~50 歳代の男性が患者のほとんどを占めており、大きな問題です。


【岡山県感染症情報センターより参照】
(2018年12月22日更新)